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シールドルーム(3) [脳のはなし]

3.何をシールドしているのか?-1

シールドルームは外部からの電磁波を遮蔽しているという話を書きました.でも,僕が使っていたシールドルームは,全く,完璧ではありませんでした.なんと,シールドルームの中で,ラジオが良く聞こえました.多少,聞こえは悪かったですが.これは驚きでした.研究を始め一週間も経たないうちに判明しました.これは寂しかったですね.....でも,反対に,使用している機器の電磁波をシールドルームの中に閉じ込めているという心配も半減しました.じゃ,なんのためにシールドルームはあるのか?という疑問が次第に首をもたげてきたのです. そもそも,生体の電気活動は非常に小さいので,様々なノイズが混在していると,純粋にその電気活動を記録することが出来ません.結局は,ノイズ源をどの様に特定して,その不要なノイズをどの様に軽減するか(消失させるか)?が大切なのです.そのためには,しっかりした,アースを実験室に引き,電子機器を一つ一つ設置しながら,どの様なノイズが出現するのかを見極めながら,実験室を作り上げる必要があります.機械の配置一つでノイズレベルが変わるのです.もう,四半世紀もこの仕事をやっていると,その機械を視るとどの様なノイズを出すのか,想像付く場合もあります.そして,記録する電極の周囲をできるだけシールドして,その電極が他のノイズを拾わない様に設計するのです.その意味では,他の実験室の作成よりもむしろ電気生理学の実験を作るという作業は結構困難でセンスが要るのです.ですから,前にも書いたように実験室を視ると色々なことが分かるのです.その研究室で出せるデータの信憑性そのものも分かる場合があります.怖いですね.その意味では,今の私の実験室は一流から三流以下になってしまいました.私の責任ですが.でも,「くさいものには蓋をする」というような考え方では,余計なノイズを消すことは絶対にできないと思っています.
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